冷たい雨に咲く紅い花【前篇】


甘い煙草の匂いと

闇を溶かすような雨、



それは、紘夜の合図。
裏の仕事をしようとする、合図。




紘夜が、
誰かを殺そうとしているーー!?



そう気づき、
走り出す。


待っていると言っていた駐車場に、紘夜の黒い車がない。


イヤな予感がする。


体中に響く鼓動の音に追い立てられるように、
私は走り出した。


あてなんかない。


でも、
ジッと待っているだけなんて、出来なかった。




紘夜、

紘夜、どこ?



どこにいるの?