† ー実織ー † 暗い夜の闇に出ると、 空から小さな雫が幾つも降っていた。 ーー雨? と、店先で立ち止まっていると ふわり、 と香る、甘い煙草の匂い。 その香りに鼓動が、 ドクン、と不安の音をたてた。 甘い煙草の匂いは、 区切りの合図。 そして、 外は、雨。