そう、思うのに、
どうしても〝兄〟と話すと、こんな、ザワついた気持ちになる。



こうも違うものか。


実織と達花、
兄と俺…


考えても仕方ない、
と、窓の外を眺める。



闇夜に浮かぶ三日月。

闇夜に浮かぶ彩り豊かな花々。



思い出す。

淡い色のドレスを翻して庭を走り回り、
一生懸命花を摘んでいた、彼女の姿。


今はいるはずのない実織の姿を、
探してしまう。



そんな俺の目の前を、
くゆる煙草の煙が開け放たれた窓から、闇の空に吸い込まれてゆく。




なんだか無性に、

実織に逢いたくなった。