「分かります。紘夜様が、こんなに早く帰宅されたのは久しぶりです。
実織様が帰られてからは、仕事ばかりで…。
それに、紘夜様の表情が違いますから」



確かに、
最近は仕事ばかりで、帰宅は深夜。

表の仕事も、
裏の仕事も、


どんどん詰め込んで、


仕事以外の事を考えないようにしていた。





それでも、
時折、思い出した。



実織のあたたかさを

実織の匂いを



思い出すたび、
心の奥底にしまい込んだ。



深く


深く…



でも、
忘れることは出来なかった。