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「お帰りなさいませ、紘夜様」

「ん?あ、あぁ」

出迎えた静音の声に、
どこか上の空で答えると、


「実織様と何かありました?」

俺の黒いコートを受け取る静音が、心配そうに尋ねる。


「あ、いや…。実織と、ってわけじゃ…」

ん?
待てよ…


「静音、なんで俺が実織と会ったって、分かった?」



ここ最近、
静音と会うことはなかった。



それに、
実織と再び会うことが出来たのは、ついさっきのことだ。


なのにーー…