「あいつはダメだ」

ジュン兄は、冷たく言い放つ。



いつもイジワルで、口は悪いけど、

でも、
愛情を感じた。


しょうがないヤツだな、実織は…

って、
ジュン兄は優しさを感じた。



でも、
今は、違う。



冷たい、

ただ否定するだけの、

冷たい言葉。



「いいな、もう真影と会うなよ」

「ジュン兄!」


私の呼ぶ声に振り返ることなく、
ジュン兄は2階の自分の部屋に入ってしまった。



ハッ、と気づいて
私が外に出た時には、

もう、


紘夜の姿も、
紘夜の黒い車も、


どこにも
みあたらなかった。