冷たい雨に咲く紅い花【前篇】



「きょ、今日はそろそろ帰った方がいいよ。静音さんが心配してるよ、うん!」


ぐいぐい、
と、私は両手で紘夜の体を玄関から外に、押し出す。


「なんだよ、押すな実織」


「おい!軽々しく、オレの妹の名を呼び捨てにするな」


ピキーン、と
またジュン兄の眉が上がり、顔が怖くなる。



ひーー!


「こ、紘夜っ、お願い今日は帰って…」


このままじゃジュン兄がブチ切れちゃう~


塩でも掴んで投げつけそうな迫力のジュン兄。

私は早く紘夜が帰ってくれることを願っていると、