† 「着いたぞ」 感情の感じられない口調で、紘夜が短く言う。 家に着くまで、何も話さなかった。 重く、息苦しい沈黙と、 甘い煙草の匂いだけが私達を包んでいた。 「ほら、早く帰って風呂に入れ」 ぽん、と紘夜が私の頭を軽く撫でる。 途端、 私の目から涙が溢れ、止まらず流れた。 自分でも驚くほど自然にーー…… 止まらなかった。