冷たい雨に咲く紅い花【前篇】


「とにかく車に乗れ。そんなに服が濡れたまま歩いて帰ったら、風邪引く」


確かに、
制服は、体は、冷たくなっていて、秋の風に私は震えた。


「ほら、」

グイっと、
紘夜は私の返事を待たずに、私の体を車の助手席に乗せた。



ドサッと座ると、
私は固まったように動けなくなった。



うつむいたまま、動けない。

隣の運転席に座った紘夜を、見ることが出来ない。



紘夜はエンジンをかけるとエアコンを付け、車の中を温めた。