「か、帰るっ」
恥ずかしくて、
上手く頭が回らなくて、
私は、車を飛び出し、逃げた。
「あ、おい!実織!」
が、すぐに紘夜の腕に捕まる。
もーっ!
やだ、帰らせてよー
真っ赤な顔を見られたくなくて、
私の腕を掴む紘夜の腕が、力強くて、
紘夜は、男の人だと思うと、
また顔が熱くなった。
「なんで帰るんだよ?送るって」
訳がわからない、そういう感じで紘夜が言う。
「…いい。一人で帰る……」
うつむいたまま、小さな声で答える。
「…怒ったのか?」
違う、
怒ってなんかいない…
違うけど、
よくわからないけど、
なんか、
なんか、
紘夜の顔がちゃんと見れない。



