冷たい雨に咲く紅い花【前篇】


「実織ー、お前なぁ!」

「な、なによ!? 紘夜が悪いんだからね!」

「悪いって、何が」


悪びれた様子も無い紘夜。

「何、って…」

私の思考がぐるぐると回る。


何って、
何って、



こういうのが!

ダメなの!




「…紘夜のえっち」


ボソッと呟くと、


「あぁ、そうだ。悪いか」

紘夜は、
しれっと、返す。