「こんなのはダメー!紘夜!」
叫ぶ私に、
紘夜は顔をしかめる。
「なんなんだ、お前は。いちいちうるさい!」
「うるさい、じゃないでしょう!この手!この手はなに!?」
「なにって、だから流れ」
「流れ、じゃあない!」
ドーン、
と、力いっぱい紘夜を押し退けると、
油断していたのか、体勢が崩れた紘夜の体は私から離れ、車から外に出た。
よろけながらも、持ち前の運動神経で体勢を立て直し、車の外から中にいる私をイジワルそうに睨む紘夜。
その眼、怖いんですけど…
さっきまでの穏やかで優しい視線はどこへやら、
甘い雰囲気は、一気にどこかへ飛んでいった。



