冷たい雨に咲く紅い花【前篇】


「……静音さん、紘夜の居場所は?」

震える、掌。


「わからないんです…。
昨日の深夜、帰宅された紘夜様が〝実織の様子を見てきて欲しい〟と言い残し、次の朝にはもう、姿がありませんでした」

「それから、紘夜、帰ってないの?」

「…私の知る限りでは」


紘夜!



名を叫び、呼び戻したい。


すぐにでも、


なに心配かけてんのよ!

ってーー……




でも、