冷たい雨に咲く紅い花【前篇】



もう、戻れない。




これ以上、

道も、
自分が何を思って走り続けるのかも、



何も、分からない。



分からなくて、


足が、止まった。




「ふ、うっ…うっ、」


涙だけが、溢れる。

溢れて、流れ続ける。



でも、
この涙が何なのかも、


分からなかった。