冷たい雨に咲く紅い花【前篇】


気付くと、

私の涙が
FAX用紙にポタポタと落ちて、

ジワリと広がり、染みになった。



「実織!? どうした?」

驚いた様に、
ジュン兄が私の肩を掴んで、顔を覗き込んだ。



肩が、

熱い。



ついさっき、
紘夜に抱きしめられた体が、



熱いよ。



熱いよ、紘夜ーー