前の私だったら、 逃げ出したくなる怖さを紘夜に感じた。 でも、 気付いてしまった。 その奥に、 哀しさ、寂しさ、 優しさを 秘めている事を、 私は知ってしまったからーー。 「……で、でも、私だけ逃げるなんて…。 紘夜も一緒に逃げよう?」 「わからないヤツだな!」 鋭い紘夜の声にビクッとなり、 気付いた時には、 紘夜の胸に 抱きしめられていた。