そんな私の様子に気付いた素振りも見せず、 紘夜は辺りに視線を走らせていた。 だから私は、 紘夜の匂いのするジャケットを、 ぎゅっ と、抱きしめた。 『大丈夫だ、実織。俺がいる』 その言葉が、声が、 耳から、心から、 離れない。 ドキドキしながらも、 顔を上げると、 紘夜が、後ろ腰に差していた銃を取り出す。 そして、回転式の弾が入っているところを確認する仕草をした。 その流れるように馴れた仕草に、 目を奪われた。 こんな時なのに、 紘夜から目がそらせない。