「今日のパーティーは、久しぶりにご兄弟があちらの本宅に集まりますし、私も嬉しいです」

私の髪を真珠の飾りが付いた髪留めで結い上げる、静音さんの笑顔が鏡に映る。


「ーえ?あちらの本宅って…?
ここでパーティーするんじゃないの?」

思ってもいない展開に、私が戸惑っていると、



「ここは別宅だ。兄と姉はここから少し離れた本宅に住んでる。パーティーも本宅主催だ」

黒いシルエットの綺麗なスーツを着こなした紘夜が、
部屋の入り口に立っていた。



「紘夜様」

「…紘夜……」


悔しいけど、



紘夜はカッコ良かった。



長身で黒髪の紘夜は黒のスーツが似合っていて、思わず見惚れてしまう。


でも、それを気付かれたくなくて、
視線をそらし、
別のところに意識を持って行こうと私は必死だった。