「……静音」 不意に呼ばれ、ハッとなる。 「す、すみません!私が行き届かないばかりにーー」 「早くいってやれ」 「え?」 「実織を頼む」 背を向けたままそう言って、 紘夜様は扉の向こうへ、 消えた。 表情は見えなかったけれど、 その口調はどこか優しさが感じられて、 紘夜様の胸元で花がふわふわと揺れて、 私は込み上げる笑顔をこらえることが出来なかった。