気付くと、 日は傾き、辺りは夕暮れ色に染まっていた。 秋を感じる冷たい風が吹き抜ける。 「実織様、風が冷たくなってきました。お部屋に戻りましょう?」 私が実織様を屋敷に促すと、 「あ!ちょっと待って、静音さん」 そう言って、庭の片隅の花壇に駆け出す。 「いかがなさいました?」 不思議に思い、実織様のあとを追い尋ねると 「この花、少し摘んでもいいかな?」 私を振り返り、笑顔を向ける実織様。 その可愛らしい表情に、 何も考えずに、えぇ、とうなずいてしまった。 ハッ、私としたことがーー