そう、そうか……。


「実織様が、冷たく凍り付いていた紘夜様の心を解かしてくれたのですね」


「えっ?」


私の呟いた言葉に、意味が分からないといった表情の実織様が、
振り返る。


本当にくるくると表情がよく変わる。
その様子を見ていると、こちらまで表情が和らぐようーー。



「いえ、なんでもありません。
実織様がここにいらしてよかったと、
そう思ったのです」


「えーー?でも無理矢理連れてこられたんですよ?
巻き髪ってだけで」


今度は不満そうに、
ぷうーと頬を膨らませ、怒ったような表情になる。


でも、そんな表情さえも可愛らしく見えてしまう。