「え?どうして静音さんが謝るの?
謝らなきゃいけないのは私の方ですよ」

ふわり、

ドレスを揺らして実織様が私に近づき、
私の顔を覗き込む。


「ごめんなさい。久しぶりに天気がよくて、ついはしゃいじゃって…ドレス汚してしまいました…」

叱られた子猫のように、
実織様は、しゅんとした表情をする。



本当に不思議な方。


楽しそうに笑いながら走り回っていたかと思うと、
途端に、しゅんと落ち込む表情を見せる実織様。

くるくると表情がよく変わる。


それが、不思議に感じた。



このお屋敷の方々は、いつもほとんど表情を変えない。

特に紘夜様は、
いつも緊張感を持っているようで、
ピンと空気の張りつめたような方だ。


そういえば、笑ったところなんてほとんど見ない。