今まで俺とは無縁のものが、 今はすぐ近くに、 こんなにも近くに、溢れていた。 そして、窓に映った自分の表情に俺は驚いた。 さっきまで滑稽だと情けない表情だった俺が、 今、窓に映る俺の表情はほころんでいた。 どういうことだ? なぜーー? 思わず、掌を自分の顔に持っていくと、 「ぁつ!」 くわえていた煙草の火が掌に軽くあたり、 掌をブン、と振るーー ガン、 「って!」 今度は、机の角に手の甲をぶつけた……。