僕は、 東京拘置所の一室にいた。 ここには何もなかった。 携帯電話は取り上げられ、 公衆電話もなく、 パソコンもない。 外の世界と 接触することができるのは 手紙だけだった。 電子の情報が 氾濫するこの社会で、 真璃亜と僕と結ぶ糸は、 もう死語となってしまった 文通だった。