細いペンで綴られた 真璃亜の美しい文字を 見ながら僕は、 彼女はどんな女性なのだろう、 と思いを巡らせる。 まだ、顔も年齢もわからない。 知っているのは、 御茶ノ水の総合病院の精神科に 長い間、 彼女が入院していることと、 彼女の名前だけだ。 彼女と僕をつなぐ糸は、 そもそも 初めから何もないのだ。