「頼みがあるんだけど、今すぐ彼氏と別れてくれない?」

「はぁ~?何言ってるの!彼とは結婚して、幸せな家庭を築けるけど、貴方とは付き合っても、半年ももたないと思うわ!私達の何が分かるの?」

「何にも分からないよ。でも、俺とお前の事だって、お前は分からないはずだ。」

「俺はお前の事が好きだけど、彼氏がいるのは嫌だから。別れられないなら、帰っていいよ。」

勝手な男。自分で呼んだくせに!




「ご免なさい。好きな人が出来ました。」

まさか、こんな報告をしてしまうなんて。

「一時的な感情だと思うから、落ち着いて、考えが変わったらいつでも連絡していいよ。あっ!振られた時も、俺がまた面倒みてやるよ。」

「ありがとう。ご免なさい。」

涙が止まらなかった。
「泣くな!自分で決めたんだろ。泣きたいのはこっちだ!頑張れ。」

何も言えずに受話器を置いた。涙が次から次に溢れてくる。

数分後、泉が会いに来た。

「別れたか?これで、俺の女だ。一杯幸せにするからな!」
泉の笑顔で、溢れていた涙が、一瞬で乾いてしまった。

私は最低だ・・・でも、最高に幸せだ!

泉には友達が沢山いて、いろんな所に連れていってくれた。

理想の彼氏と、理想のデート。人生薔薇色って、こんな事を言うのね。


それから一ヶ月が経った。


私は授業中に倒れた。
遊びすぎだと思って休んでいると、心配そうな顔の担任が車椅子を押してきた。

「乗って!」

「もう大丈夫です。」
私は、有無も言わせずに車椅子に乗せられていた。

「あの~」

「絶対安静よ。御両親には、連絡しておくから」

何がなんだか分からなかった。人違いじゃない?そう思いながら、私は病院のベットにいた。