「当たり前だ!! ――というかレイ!」
「え? あ、えっと何でしょう?」
「こいつは、お前の子どもだろうが!! 何か無いのか?」
「え? アザムが決めたのなら私は構わないと思うのですが……」

 呆れながらベリルはレイに“考え直せと言うんだ”と瞳で訴える。

「レイ! お前のその答えは、傭兵との仲介屋になりたいと宣言されての答えなのか!?」

 
 言いたいことを整理するためレイは突然沈黙をする。

「そうだな……父さんとしては、好きな職にとは本当に思っている。ただ高等科か専門科で看護の勉強をして、少し手伝って欲しいと言うのも本音であって――」
「え? 手伝うって……」

レイはアザムの進路を聞いてからどのタイミングで頼まれた事を実行するか悩んでいた。


「まだ話していなかったね。私はベリルさんに頼まれて、極力数年以内に拠点が無い場所に個人病院をというのを引き受ける。誰かを引き抜いたりもで無理だ。探したりも暫くは辛い。それで、アザムが医療に関わりたいというならとちょっと考えてはいたのだが……」

 真剣にそこまで医者の親の気持ちに近い内容で話すと、優しく微笑む。

「アザムのやりたい事を、私の勝手でダメだと言っている訳じゃない。この世界にと思うなら、私が知っている医学の知識でいいなら全部教える。看護師がすることで分からないことも教えるつもりだたんだ。ただそれだけだよ」

 そう言ってティーロに降ろしてもらったアザムに手を差し伸べ、こっちに引き寄せて続きを話し出す。

「ごめんな……お前の事を全部理解できてると、六年だけではやっぱり言えないんだ。ただアザムは傭兵のではなく、ベリルさんの仲介屋になりたいって事だよね? だったら私は反対はしないよ」


 無言で頷くアザムの姿に一番戸惑うベリルが居る。