ザザの持つ銃を見て苦笑いを浮かべるベリル。

 二人の会話を聞いても答えが全く見えないアザムの姿がベリルの後方にある。

 ちらっとラトに隙が無いかと思うが……近づく事は不可能だ。


 ザザに縋り付いている時、状況のせいもあって全てにイラついていた。
 今もザザがレイにした事を考えると、ルクティの様に助けなければという感情は無い。
 
 ただ“殺してしまいたい”と何処かで感じている。

 アザムはほんの少しなのだが、ラトの雰囲気に違和感を覚える。
 六年前のレイに感じた両極に近い雰囲気が入り混じっている感覚だ。

 それでもここに居て残されているという事は、戦い慣れているのだろう。
“思い違いだろう”と言葉には出さずに口を動かした。

 その後気が付かれてはと、アザム自身はすぐにラトから視線を外し戦闘が始っている前を見た。
 
 視線に気が付いていたラトが薄く笑った事は、アザムは知らなかった。



 戦う二人は機材の隙間を使って隠れながら相手の隙を狙っている。

 先ほどのベリルが動きを封じる事のみで考えた先手二発の事もあるのがだ、それ以上にザザが慎重にも見える。

 ベリルもザザも相手の次の動きを見ている。

 ザザの隠れている部分の隙間を狙いベリルは発砲する。

 それを避けたとき、ベリルの姿の方が機材の陰から抜け出した。
 ザザは銃を構えると自分も表に出てベリルの頭部を狙い発砲する。

 素早く避けたベリルは無傷だが、後ろ側にあった機材の筒は半壊しつつ貫通している。 そして後ろのコンクリートはひびが入り弾はめり込んでいた。

「連続はきついだろうな……反動がすごいしね」
「くくっ、中身の威力も最強にしてあるってことか」

 ベリルは自分に向けられ発砲され響いた音を聞いて全てを判断している。
 ザザの持つ銃の威力はハンドガン一、二を争うと言われている。