「しかしちょっと想定外だな。まずここに人が来ること自体がだけどね。そんでもってその少年と悪魔が一緒にやってくるなんてさ。レイが何故生きていたのか……それは“ベリル”君が居たからだよねぇ?」


 ザザは“ベリル”という人間の“素晴らしき傭兵”と“悪魔”と言われる相反する通り名を理解していた。

「そういえば、君は本当に死なないの? 死ねないの……? “最後の敵”は良く死なないって言うけど、果たして……そうかな?」
「くくっ、死に方があるというのであれば、こっちが知りたいかもな……」

 二人の会話はふざけている様に聞こえるが、瞳がどちらも笑ってなどいないし互いを威圧している。

 ザザはラトに‘こっちに来て’と目で合図すると、自分はレイから離れラトがレイを見張るように命令する。

 ベリルはアザムに“遠退く様に”と囁いて、掴んでいた腕を放してやる。“案ずるな”と一言付け加えて。

 
ベリルが先に二発ザザの動きを封じる目的で発砲する。

 
ザザは見た目だけは戦い方も知らなさそうな、軽い男にしか見えないのだが全くそういう気配は無く、軽く横の物陰に回避すると立ち上がりパソコンに置かれているハンドガンを素早く手に取る。

「俺は本当は違うほうが使い勝手が良くて好きなんだけど……今はこっちが良いみたいだし」
「ああ、そういうことね」