ベリルが気を探ると気配にはあと三つ。
 一つは戦力的能力は無いと思われるためレイだろう。

 二人とも武器を構えており、特にアザムは、光が見える部屋に近づくごとに慎重になり過ぎて、中腰になってきている。



 入り口近くまで寄ると突然扉が開いた。予想外な出来事に二人は少し戸惑った。

 優しく静かに微笑む民族衣装の‘ラト’が中に入るように“どうぞ”と手で促がした。雰囲気が今までの奴らとは違う穏やかなのに、その中にある威圧感は十分ある。

 ここは様子を見るため素直に“従がう”ようにベリルはアザムに合図をした。

 

 中には、椅子に座ったザザの姿があった。
 入ってきた二人を見て足を組み、子どもの様なくすくすという笑い声をあげる。

 その近くにはシーツを掛けられ座り込み、下を向いているレイの姿がアザムは確認できた。
 
 ベリルから半歩ほど先に足を無意識に進めた。