現在は二人で病院にも学校にも、ある程度近い所に二人で生活するなら十分いや、少し大きいと感じるくらいのメゾネットタイプの部屋を借りている。

 試行錯誤しながらも六年という月日を共に過ごした。今も進行形なのかもしれない。


 六年前他人から見れば、実刑や死刑よりも辛い償いに見えたかもしれない。

 少年にも同様の苦しみや葛藤があったがだろうが、話し合う時間を惜しみなく費やし、いつしか二人の日常となってゆき本当の親子に一歩でも近づく。
――それは、その傭兵が本当に与えたかった“幸せ=意味”だったのかもしれない。


 そう思いながら一人で微笑むとテーブルを片付けたレイは、出勤準備を終えて時計を一度見て、戸締りをし家を出て行く。

 
 二人は見た目が全く違い毎日が平凡で何も無いが、確実に親子として生きている。

 それでも最近、大人に向ってゆく少年にレイは、戸惑いが隠せない悩める父親となっていた。


(メゾネット/小さな家の意で、一部屋が二階建て構造のアパートやマンション。主に家族向き)