アザムは自分が此処に居てはベリルの行動に邪魔と感じ取り動こうとした。
 その時、アザムの頬をルクティの撃った弾がかすめた。


「二人共邪魔って言っただろ? というかさ、この素晴らしい世界に選ばれた人間以外って皆邪魔だと思うんだよ!!」

 アザムは頬をかすった銃弾に恐怖する事は無かった。それよりも目の前の男が放った言葉が恐怖だった。

 そう言ってルクティは高らかに笑ったかと思うと、構えたままの銃をアザム目掛けて二発撃つ。

 とっさにベリルはアザムに覆いかぶさるように抱え庇った。

 ベリルの肩辺りに銃弾は二発とも入った。自分の手や顔にかかった血が自分の物では無いと分かった時、胸が熱くなり涙が零れた。

「あ、あぁ……ベ、ベリルさん!! ご、ごめん、ごめんなさい!!」
「アザムは何故すぐに謝る……私は、大丈夫なんだぞ?」
「けど、けど……」
――治ると言うけど、それでも痛いのは一緒だから……

 少しの時間痛みに耐えるその顔が少年をそうさせている事を、ベリル自身は全く感じては居なかった。