数時間ほど前、レイは明け方に緊急手術が入り、アザムが家を出た二時間後くらいに家路に着くことになった。

　

　丁度レイと隣の家の間あたりの向かい側に路上駐車がされていた。

　少し道が狭く滅多に通らないというのに、そんな時に限って車すれ違い横切る。
　その車の運転手がイライラしながら邪魔そうな表情を浮かべているのがレイの目にたまたま映った。

　そして、小さな階段を上がり鍵を差し込んでみたが鍵が回らないので、不思議に思いながら扉を引いたらそのまま開いた。

「アザム?　帰っているのかー！」
　
　玄関部分で、大きな声でアザムを呼ぶが返事は返ってこない。


　
　後頭部を右手で掻きながら小さくため息をついて中に入る。

「鍵し忘れていったのか、あの子はよほど……」

　ベリルとティーロに会える事が嬉しかったのだろうと考えてた。

　そう小さく呟きながら苦笑いを浮かべ、毎日と同じ行動を取る。カバンを入ってすぐにあるダイニングキッチンの椅子に置き上着をかける。
　
　

　そして、何気なく顔を上げた。