ベリルが自分の時間(とき)を重ねようとしても、今のアザムと同じ頃にはこの世界に居た。

 本当は研究で生まれた“人間”で万能であり学習、訓練と称して色々な知識を吸収していく毎日だった。
 制限と偏見も多少確かにあったが、“ある意味”自由な思考を本人は持つ事を許されていた。
 
 アザムより少し子どもだった頃に研究所への破壊攻撃により、多くの命を背負い犠牲にしながらも逃げのびた。自分の事を知っている唯一の人物は、名前や素性を一切吐かなかったため、それ以上誰にも追われることも無かった。

 逃げ延びた時にたまたま出会った人間が傭兵であり、とても信用出来ると感じたのだろう。
 その時その傭兵に入った指令に付いてゆき、才能と生きる道を見つけた。
 その後そのままその人の弟子となった。


 一人立ちし数年以上が経った時、ある事件が発端で不老不死になってしまった。


 その時を境に自分を研究材料であったり、自分の力に変換出来ないかと狙ってくる者も多かった。
 今も少なくなったといえどそういう奴もまだ居る。

 それを逆に使用して、六年前アザムの命を救ったのも又事実ではある。
 
 
 全ては“公然の秘密”

 ある程度の情報がSランクの傭兵リストに書かれている程度。
 詳細が不明となっているか、いい加減な事が記されているかどちらかだ。