その時ベリルの携帯が震える。着信はティーロからだ。

<二時間ほど走ると、隣の州に入る道があるのです。そこまでは追跡できたのですが、もう少し先の場所で追えなくなった>
『捨てるならとっくに捨てられているだろう。普通に充電切れだろうから、その郊外辺りに廃工場とか人が居ない場所を探してくれ』


 レイの情報を操作してある事を知っている人間よりも、どうやってレイがFBIから解放されたかの、本当の真相を知っているのはその中の一握り。


『後、情報屋から六年前の事件で捕まった等のリストを、今お前が見てくれ』
<え? 私がですか!?>

 ティーロには何故リストが必要なのか予想外の言葉だった。

『元警備員なら上層部から役職研究員くらい覚えているだろ……リストに居ない奴が居る可能性がある』
<了解しました!>

 状況が把握出来たため納得をし、すぐに取り掛かるように電話の向こう側で指示をしている声も少し雑音程度だが聞き取れる。

『これから、辿った場所まで行く。すまんがそっちは、お前が指揮を取った方が分りやすい。何か分り次第連絡を頼むぞ』
<了解です!>

 ベリルは電話を切り、じっと横で話を聞きながら見ているアザムを見返した。