夕方前、ベリルの助手席で気まずいわけではないのだが、固まっているアザム。

 あの後二時間ほど二人に自分の思いを聞いてもらったのだが、ベリルもティーロも反対も賛成も出来ないというのが本音だった。


「こ、答えは自分でちゃんと出すから……それより本当はさっきの呼び出しだったんでしょ? いいの?」
「別にかまわんよ」

 その帰り際にベリルとティーロに呼び出しがかかった。
 しかし途中にある小さな町でティーロだけを降ろし、拠点に連絡をしてティーロだけ先に向ってもらうように迎えを頼んだ。

 今追っている事件の情報があったらしくベリルも行きたいというのが本音だった。こちらではまだ出ていなかった死人が遂に出たという情報だったからだ。

 そして傭兵になりたいと聞いた以上、アザムをレイとの相談も先にしないで、今の拠点につれて行く事も当たり前だが出来ない。

 だからと言ってティーロではなく、アザムを夕方に隣街へ放置する事も、ためらわれ後から行く事にしたのだ。




「けど、仕事の事だったんでしょ?」
「まあそれはそうだが……お前にはこっちの方が大事な事だろ? これでも二人の‘監視者’でもあるんだから私は」

 監視者だと現在は思っていないが、性分なのだろう。冗談ぽく苦笑いを浮かべながらアザムを見る。

「けど、ごめんなさい……」
「ティーロが先に向っているんだ。何かあればすぐに連絡はある」