車を止めて門のようなゲートをくぐると、色々な商業施設と緑が多い巨大なショッピングモール。

 ベリルは‘ぺタロン’という語源が‘葉’であるだけあって草花や樹木が多いことを考えながら見渡している。

 新しく出来たというだけあって、人が多い。アザムはちょっと先を歩いて、色々と見ている。

「余り一人で先には行くなよ」

 かなり大きな土地に建てられているため、大人でも迷子になる程の大きさなのでベリルは一応注意をしておく。

 楽しがる子どもと対照的に五十過ぎの男は横で小さくぼやく。
 
「やはり、こういう場所に普通……」
「人ごみが大嫌いなわけではなかろう?」

 ショッピングモールやテーマパーク的な場所には男性同士というのは少ない。カップルや子ども連れが多いのでティーロはげんなりしている。

 普通ならベリルが訝しげな顔を浮かべる所なのだろうが、ティーロの意外な表情とアザムの楽しそうな顔を見てると“構わない”という答えになったのだろう。

 色々な事に毎日のように追われては居るがアザムの手前というのもあり、一瞬の小さな休日だと思えば良いと、内心はベリルもティーロも思っている。

 それでも、何処へ行っても気を抜く事が許されないというか、職業病のようなものだと互いを見て苦笑いを見せた。