その後、レドリーはその部屋に自分のコーヒーを持ってゆくと、ベリルに話かける。

「レイ君には、こっちの事は話したのかい?」
 
 数枚の紙を一緒に持ってきたレドリーに、ベリルは軽く首を横に二回振った。

「こっちを終らす為に来たのだから、かまわん」
「そうかも知れないが……」

 レドリーはその言葉に軽く息を吐き、その言葉に何処か飲み込めない様な瞳を見せた。




 ベリルは拠点の話以外にも此処に来た理由がある。

 今“見えざる者”と対峙している。

金のためか、混乱か……最近各国での不穏な動きの情報を集めている。

 各国で、医療関係者と開発関係者のデータに不正アクセスされていた。ニュースなどにはなるが、今までは他国で起こっている事なため真剣に耳を傾ける人も少ない。

 そして最近、カナダとアメリカで情報が流出したと報告があり、ベリルは此処に来たのだ。


 特にあの二人が知れば気にする内容と推測されるため、ベリルはレイにこの話もぜず、アザムに会う約束もした。