幸福論


取り敢えず、付けっ放しのTVを切って、カーテンを閉めた。

流石に開けっぱなしで着替えらんない…。




バッグの中から、ビニールの巾着袋を取り出した。

そして、莉子ちゃんと吟味に吟味を重ねて選んだ水着を手にとった。






「勢いで…、ビキニなんか買っちゃったけど…。」






黒地に白い小さなドット柄。
胸元には、白いリボン。

首にもリボン、それは黒。






「取りあえず着てみよう…。」





………
…………





「…布面積…少ないよね…。

スカートが付いてるのが救いだ…」





髪を横に一纏めに括った時、閉めたドアの向こうで「入ってええか?」って声が聞こえた。






「え…、ちょっと、待って、まだ、服着てない。」






「水着は着たんか?」






「うん…、でもね…」






ガラッ






いきなり入って来た幸谷君が私を見た目を細めたのが分かった。






ヤダ…。


変なのかな?


きっと、そうだ…。








「…その水着…で、海行くつもりか?」