「高杉愛子…です。
はじめまして…」
そう答えた私にお兄さんは、優しく笑いかけてくれた。
「可愛いなぁ。
俺は雅斗の従兄弟で、幸谷晃司(ゆきや こうじ)、独身、彼女募集中の25歳。」
おチャラけた話し方に肩の力が抜ける。
幸谷君と雰囲気似てるけど、全然違う(笑)。
楽しい人。
「私のお兄ちゃんと同じ年です。」
「へぇ…、随分年離れてんやね?」
「はい、9歳離れてるんで、喧嘩もしたことないです(笑)。」
そう答えた私に晃司さんは目を細めて煙草の煙をゆっくり上に向けて吐き出した。
「兄ちゃん、愛子はあかんで?」
???
「コイツは、俺のンや。」
そう言って私の肩をグッと抱き寄せた幸谷君の頭をポカンと叩いた晃司さんが、煙草を口端に咥えたまま笑った。
「アホか。
流石の俺も、こんなまっさらな感じのんに手ぇは出せへん。」
「…まっさらと違っても、コイツは、あかん。」
そう言った幸谷くんに私は閉じ込められたまま、ただ顔を赤くするだけだった。
「兄ちゃん、単車貸してくれへん?
海行きたいねんけど。」
