「今日ね、おばあちゃん、退院してきたの。」
『あー、あの助手席に座ってたのが、おばあちゃんか。』
「うん。
凄くうれしいの。」
『愛、ずっと言うてたもんな、おばあちゃんと一緒に住みたいって。
良かったやん。
願い叶ったな。』
幸谷君の優しい声色に胸がキュンっと静かに音を立てた。
「うん。
これで、元気になってくれたらホントに嬉しい。』
『そうやね。
…日曜日、晴れみたいやで?
週間天気予報で言うとった。』
「うわ、嬉しい。」
『クスッ。
テンション高ぇ(笑)。』
だって、凄く楽しみしてるんだもん。
初めての二人での遠出。
ママとパパに少しだけ嘘を吐いて、出掛けると遠出。
…日曜日、学校の友達とね、出掛けるんだけど、ちょっと遅くなっても良い?…
そう言った私にパパもママも詮索することなく了解してくれた。
少し罪悪感に胸が痛んだけど、それより、幸谷君が連れて行ってくれる内緒の場所に思いを馳せて胸がドキドキした。
痛みよりドキドキが勝った。
