幸福論


夜、おばあちゃんの居る食卓は賑やかで、楽しかった。





「おばあちゃん、これ、貰ってくれる?」





昨日、用意したハンドタオルをおばあちゃんに差し出した。






「ありがとう。

可愛い刺繍やなぁ。

愛ちゃんが縫うってくれたんか?」






刺繍を指先でなぞるおばあちゃんの優しい目が嬉しくて、「うん、そうだよ。」と、少し自慢気に答えた私。






「大事にするわな。

ありがとうやで。」






おばあちゃんの皺くちゃな手が優しくて触れたくなる。






トゥルルルルルル…トゥルルルルルルル…






「あ、あたし、出るね。

ごちそさまでした。」







私は、席を立ってコードレス電話を手に取った。