高校に入学して一カ月が過ぎた。

仲良くなったクラスメイトも少しだけ出来た。

でも、少し引っ込み思案な私は、上手く溶け込めてるのか不安でいっぱいだった。

一緒にお弁当を食べる友達も出来た。

休み時間、話しかけてくれる友達も出来た。

でも、このG.W、クラブにも入っていない私は、学校の友達と接点を持つことは無かった。

自分から友達を誘って遊ぶとか考えもしなかった。

G.W中の楽しみは、二両編成のローカル線に乗って、大好きな図書館へ行くこと。

大好きな本。

雨の日は、図書館で借りた本を開いて、真新しいキッチンで、シフォンケーキに挑戦した。

「ケーキ屋さんのより、甘くなくて美味しいな。」と、パパに褒められた。

晴れた日、おばあちゃんの畑にママと、水遣りに行ったり、草むしりをしたり、楽しかった。

近くの畑のおじさんが、色々教えてくれた。

キューリとトマトとゴーヤの苗を分けてくれ、それをママと一緒に植えた。





「高杉のおばあちゃんの作るトマトは絶品やから、あんたらも頑張りや。」





おじさんの笑顔に私も笑顔になった。

おばあちゃんの作るトマトは最高に美味しい。

毎年、季節季節で、東京に居る私たちに届いたおばあちゃんが丹精込めて作った野菜は、すごく美味しかった。

おばあちゃんが入退院を繰り返しだした去年は、パパと、このおじさんが畑を維持してくれたと教えてくれた。





今年は、ママが、おばあちゃんの畑を世話するんだって、張り切ってる。






G.W中、ほぼ、毎日、おばあちゃんの病室へ行った。

おばあちゃんの傍に居るとホッとする。

優しい笑顔。

皺くちゃな手。

私の大好きなおばあちゃん。