「あんな?
先輩に、ウチ、フられる時、言われた言葉あんねん…」
莉子ちゃんの背中を見ながら聞いた。
「…言葉?」
「そ、言葉。
『女と付き合う時は、自分から告る。自分が好きになった女しか、付き合わへんから。』
やって(笑)。
そんでな?どんな子がええの?って聞いたら
『なんもかんも綺麗な女』
なんて言うんやもん。
ウチ、無理やしって思ったら、フられたんも納得やった(笑)。」
「難しいね…」
自販機前に着いて、莉子ちゃんが、頼まれたレモンティーとカフェオレを次々と買っては、私に手渡してきた。
「難しくなんか、無かったヤン。
さっきさ、思ったんよ。
なんもかんも綺麗な女って言うた先輩が選んだんが愛子やってんなって。
うん、納得やった(笑)。
あ、あんた、どれにする?」
「…ミルクティ…」
「ウチは、カフェオレにしよッ。」
莉子ちゃんの言葉は、嬉しいより私に戸惑いと不安をいっぱいにした。
買い被り過ぎだよ…、幸谷くんも、みんなも…。
