「びっくりした?
多分沙穂も知らんと思うわ。
ウチが超ヤンキーやったなんて(笑)。
今度、ウチ遊びに来る機会あったら、写真片手にカミングアウトするわ(笑)。」
クスクス笑う莉子ちゃんに、なんか肩の力が徐々に抜けてきた。
「さっき、裕子の話の中で、郁也先輩って出てたやろ?
郁也先輩…、ああ”ー、呼びにくい…。
愛子やったらええか、もう、ウチ、素で行くで?
郁ちゃんって、呼んでんねん、ウチ。
郁ちゃんってな、ウチの家隣やねんな?
まあ、俗に言う幼馴染っつうヤツやねんけど。
まあ、ウチが幸谷先輩にフられから、なんか疎遠やねんけどね。
あの人金髪で見たままヤンキーやん?
隣言うてもあの人、あんな感じやから、会えへんし。
ウチの近所、あんなんばっかり(笑)。
やから、必然にウチもやさぐれた…みたいな(笑)。
ホンマ、ヤンキーばっかやねん、ウチなんかお兄もお姉も、全部やから(笑)。
中学上がっても、そのまままっしぐらだったんよ。
郁ちゃんといつも一緒に居てる幸谷先輩に一目ぼれして、もう、ずっと纏わりついとって、ウチ。
最悪、ウザいやろ?
そんで、調子乗って中二ん時、告って、ばっさりフられたんよ。
フられたらなんか、先輩の傍におるん辛いし、気持ち紛らわすんに塾行き始めたんよ、ウチ(笑)。
したら、勉強、わかり始めたら、サクサク成績上がるし、面白なってきて、今に至るんやけど。
それに、絶対先輩と違う高校へ行くって決めて、勉強し始めたみたいな(笑)。
なんか、今日ウチ、喋り過ぎやな(笑)。」
楽しそうに笑いながら話す莉子ちゃん。
ふんわりウエーブのかかった髪。
誰が見ても綺麗な莉子ちゃんをフるなんて、幸谷くん、どうかしてる…なんて、客観的に思う私は、まだまだ、恋を知らない証拠なのかも。
「あ、早く、自販行こう。
あの子ら、絶対、怒ってるわ、遅過ぎ言うて(笑)。」
私の手を繋いだまま、莉子ちゃんが歩き出した。
