幸福論



クッキーの入った、小さなキャンディ模様の散りばめられたカラフルなビニール袋を掴んで私はみんなに差し出した。





「そうや、まだ、時間あるし、クッキー言うたらコーヒーか紅茶やろ?

じゃんけん負けた二人が買いに行こうよ。

せ~の、最初はグー、じゃんけんッ」





「「「ぽんっ」」」」






沙穂ちゃんの掛け声に、みんな一斉にじゃんけんの体勢(笑)。


一回目のじゃんけんで、パーが二人とチョキが二人に別れて、あっさり勝負が着いた。







「ウチ、アイスカフェオレ、よろちく~。」






「ウチは、レモンティー、もちろんアイスやで~。」






ヒラヒラと手を振る二人に、私と莉子ちゃんは、「了解しました…」と、立ちあがった。

やっぱり私と、何故か莉子ちゃんが負けた。





屋上から階段を降りながら、莉子ちゃんが「実はね、ウチ、中学の時、幸谷先輩の事好きやったんよ。」と、話し始めた。





「え…」





いきなりの話しに言葉が出ない私。

階段の踊り場で立ちつくしてしまった。






「あー。
今は、全然そんなん違うから、言うとこ思ったん。
告って思いっきりフられてるんよ、ウチ。

フられたから、今があんねん。

幸谷先輩に振られたから、頑張ったんよ。」





私の手をギュッと繋いで顔を覗きこんできた莉子ちゃんが二ヤッと笑った。

まだ、上手く笑えない私の眉間に人差し指を置いて笑う。






「そんな眉間に皺寄せて、眉毛下げんでもええんやで?

もしな?
あの時、フられてなかっても、セフレ止まりやから、きっぱりフられて良かったんよ。
こう見えて、実は、中二まで、バリバリのヤンキーやったんよ、ウチ。
今は、上手いこと化けてるけど(笑)。」






目を見開いたまま驚いてる私に莉子ちゃんがまた、笑った。