幸福論



裕子ちゃんが、サンドイッチを頬張りながら、私を見た。





「初めて愛子の事見た時、ウチも思ったもん。

こんな可愛い子、この世におんのやな。って(笑)。」






「ウチも思った(笑)。

言葉も綺麗やし。」






「お人形さんみたいやって、ホンマに思った。

東京の子ってこんな綺麗なんかって思ったもん(笑)。」






三人の言葉になんて答えていいのかわかんなくて、私は、鞄の中から、昨日の夜焼いたクッキーを取り出した。






「…褒めすぎ…やし。

なあ?

みんなで食べよう思て、作ってんけど。」






へたくそな方言でそう言った私に、三人は優しく笑ってくれた。






「ホンマ、可愛いなぁ、あんたは。

ウチ、男やったら、絶対、愛子の事彼女にするわ。

幸谷先輩らに負けへん(笑)。」






「は?ウチやから~。」






「あんたら、アホやろ?

愛子は、幸谷先輩の彼女やねんから。

無理無理無理(笑)。」






沙穂ちゃんと、裕子ちゃん、莉子ちゃんがいるから、学校も楽しいの。

こんな二人に私はいつも守られてる。

この何もわかんない街で、いろんなことを教えてくれるのは、この三人だもん。