「今朝、告られたん?
幸谷先輩に。」
屋上の貯水槽の傍。
日影が心地良いその場所で、お弁当を広げる私たち。
裕子ちゃんの直球な言葉に、食べかけていたウインナーをお箸からポロッと落しそうになった。
「ウチらには、正直に話しなさい(笑)。」
「…ん…。」
沙穂ちゃんの言葉に、私は、戸惑いながらも正直に頷いた。
「(笑)やっぱ、あれ、原因、愛子やったんや。」
え?
うつむいていた顔を上げると、沙穂ちゃんが口角を上げた。
「だいぶ前から、騒いどったもん、あの集団(笑)。」
「朝っぱらから駅で、迷惑やったもんな~。
ウチらの制服通る度、騒ぐし。」
「郁也先輩に、幸谷先輩、作次先輩も居てるし、伊佐原先輩もおるし。
朝から、女の子浮足立ってたもん(笑)。
でも、あの人らが朝っぱらから桜阪の制服の女子、通る度騒ぐんは異様やった(笑)。」
「でも、幸谷先輩やったんやなぁ。
しかも、探してるん、愛子やったとか。
愛子毎日電車通学って訳違うのに、ご苦労さんやったな、先輩達(笑)。」
「ほんまや(笑)。
ほんで、『今日は、休みなんかよ。通らへんやんけ。』って、項垂れてる日あったもんなぁ。
笑うわ(笑)。
でも、意外やった、幸谷先輩が、やったなんて。」
「なんか、一番、無いって思ったけどな。
ほら、郁也先輩とか、作次先輩とか、ありがちやない?
軽いし、女の子に優しいし。
幸谷先輩は、想像つかんよ。
やって、幸谷先輩って、寡黙っちゅうか、先輩から女の子に告白するとか、想像出来へん。
そう思わへん?莉子も、思うやろ?」