「愛子、遅い。」






「ごめん、ね?」





「幸谷先輩にサプライズやねんから、もっと気張りよ。

工祭楽しみちゃうの?」






「うん、楽しみだよ。

だからね、服選んでたらバス乗り遅れちゃって。

パパにここまで送ってもらったんだぁ。」






待ち合わせに10分遅刻の私。

そんな私にご機嫌斜めの沙穂ちゃん。






「まあ、愛子は相変わらず可愛いんでええんやけど。」






沙穂ちゃんが私を見て、そう呟いた。

そして、「ほら、バス来たで?
早よ行こう。」






私の腕を引っ張ってバスに向かって走り出した沙穂ちゃんに莉子ちゃんの呆れた声が聞こえた。






「沙穂、あんた、気合い入り過ぎやわ…。

スカート短か過ぎやねんから、転んだらパンツ丸見えやで?」






そんな莉子ちゃんの嫌味なんてどこ吹く風の沙穂ちゃんは、緩みかけたニーソックスをキュッと上げた。






「彼氏に会うんやから気合い入るん当たり前やんな?

愛子やってそう思うやろ?」





少し込んだバスの車内。

一人椅子を確保した沙穂ちゃんが隣に立った私を伺った。