「夏休みの終わりにブリーチしたまんま、漫画読んでたら、髪の色素抜け過ぎたらしわ、あの、バカ。」






言葉はきついのに、まんざらでもなさそうに目尻を下げる沙穂ちゃんは、凄く石原君の事を好きなんだな…と思えて、私まで幸せなフワフワな気持ちになってしまう。







「でもなんか似合ってそう、金髪。

石原君可愛い顔してるもんね。」







「可愛い…。

愛子に可愛いなんて言われたらアイツ、凹むわ。」






なんで?

凹む?






キョトンとした私に裕子ちゃんが言葉を繋いだ。







「男はね、女に可愛いなんて言われても嬉しくないんやって。」







「…そうなんだ、ね。」






「まあ、あんたの幸谷先輩は、可愛いから遠いけどさぁ。」






「え?

幸谷君…いっぱい可愛いよ?」






そう答えた私に三人は目も口もまんまるに開けたまま固まった。

そして、私を凝視して「…可愛いん、や、先輩。愛子の前で。」と、莉子ちゃんが呟くから私は小首を傾げた。